「地域の『受援力』を考える特別フォーラム」を開催しました!

2018.07.30

3年目を迎えた「しんじゅく防災フェスタ」。
フェスタ本番まで残り2ヶ月を切り準備を進めるなか、7月8日(日)に「地域の『受援力』を考える特別フォーラム-東日本大震災の経験から、首都直下地震を考える-」を開催しました。

「地域との連携」をテーマにした、特別フォーラムの様子をレポートします。

 

この日、会場に集まったのは、町内会や防災区民組織(自主防災組織)、実行委員会のメンバーである行政や民間団体、運営ボランティア、障がい当事者と同行・サポートの皆さんなどの約80名。多様な立場の参加者が、大久保、四谷、箪笥、若松、柏木、戸塚、落合第二、榎町という新宿区内の8つの地区テーブルに分かれ、地域防災・減災の取り組みについて意見を交わしました。

※落合第一と角筈地区は、残念ながら地域の行事と重なり欠席となりました。

 

第一部は、東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県石巻市からのゲストによる講演。何代も続く老舗の日本料理屋の女将でもある阿部紀代子さんは、震災後に在宅避難を続ける住民と協力し、毎朝の情報共有会、支援物資や清掃ボランティアの受け入れの調整などに奔走した当事の様子をご紹介いただきました。

 

また、震災から7年が経ったいま、まだまだ復興に向けた努力を続ける石巻市の状況についてもお話をいただきました。少しでもサポートをしたいと、会場では震災後にボランティアとともに営業再開にこぎつけた木の屋石巻水産の鯖缶をはじめ、石巻市から取り寄せた復興支援商品の販売も行ないました。

 

 

第二部は、いくつかの災害時の困りごとを例題に、各テーブルで対応方法を話し合ってもらいました。大災害に見舞われた被災地では、被害の全体像や復旧・復興の見通しがわかるのはずっと後になってからのこと。現場には「これが正解」を教えてくれる誰かはおらず、その場にいる自分たちで試行錯誤しながら工夫を重ねていくしかありません。

 

それぞれ立場や意見が違う者同士が話し合う第二部のワークそのものが、そのトレーニングにもなり、さらにゲストの阿部さんから住民目線での実践例を伺うことで、被災するという現実を「自分ごと」として捉えるきっかけになったと思います。

 

 

第三部は、模造紙と付箋を使いながら、平時の取り組みや災害時に役立つ地域資源を探すワークショップ。人口の多さはもちろん、大都市である新宿区にはたくさんの商業施設や福祉施設、大学、NPO/NGOなどの民間組織も集まっています。これらの多様性は、一方では混乱を生む要因ですが、平時に顔の見える関係を築き、お互いの強みや弱みを知っておくことができれば、これ以上ない地域防災・減災力にもなります。

 

 

障がい当事者や外国人が参加していたテーブルでは、彼ら彼女たちが災害時に困難に陥る要配慮者であると立場を越えて、一緒に活動できる存在として議論が進んでいました。学生ボランティアが入っていたテーブルでは、高齢化に悩む町内会や防災区民組織の皆さんにとって、地域住民ではなくても被災地の応援に駆けつける若者の存在が頼もしく感じられたようです。

 

今回の特別フォーラムは、首都直下地震という大きな課題に向き合うにあたって、とても学びと出会いが多いものでした。すべての内容はこのブログではお伝えし切れないので、この先は当日のアンケート結果(コチラ/PDF321KB)をご覧ください。

 

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※なお、この特別フォーラムを実施した7月8日は、西日本豪雨(平成30年7月豪雨)の被害が次々に報道される最中でした。報道などで「受援力」という言葉を耳にした人も多いかもしれません。

その後、このフォーラム参加者からも多くの人が現地の支援に向かっています。9月2日(日)の「しんじゅく防災フェスタ2018」でも、西日本豪雨の被災地を応援するためのプログラムを検討中です。詳細は、後日ホームページでお知らせします。